マイ将棋ブーム(№363)

 3月以降はコロナ自粛で、休日も自宅で過ごすことがほとんどであった。鬱々とした生活が続く中で楽しみをもらったのは、藤井聡太棋士の活躍だった。自分は元々将棋ファンではない。小学生時にルールを覚えたが、せいぜい暇なときに友達と将棋を指す程度であった。その程度の素人であるが、高校生棋士の物凄い快進撃に驚き、痛快であった。藤井聡太がちょっとだけ息子に似ていることもあったかもしれない(笑)。
 ネットTVの将棋チャンネルで棋戦をみたが、AIの形勢評価が取り入れられている。次の予想手が5、6手ほど示される。どの手を指すかによって形勢評価がどれだけ下がるかも併記されている。最善手以外を選択したら90対10が10対90に一手で逆転されることがある。どう指すのか一手一手に緊張感を味わえ、綱渡りのように最善手を連続して指し続けるプロ棋士の凄さを思い知った。
 将棋関連のネット記事も読んだ。その棋戦の評価、AI超えといわれる驚きの一手の解説、さらには棋士のひととなりに迫るものなどであった。
 将棋の雑学におもしろいものがあった。将棋に詳しい方ならご存じかもしれない。最高級の将棋盤の目盛りは、太刀盛りと言って、日本刀を使って目盛りを作るそうである。刃を丸めた日本刀の刃に漆を付けて斬るようにして漆を盛り付けていく。高度な熟練した技術を必要とされる。
 高級将棋盤は脚がついている美しい形をしているが、これは梔子(クチナシ)の実をかたどって彫られている。対局中は他言無用、口を出すなとの戒めを「口無し」に掛けたものだ。
 脚付き将棋盤をひっくり返して裏側を見ると中央部にへこみがある。これは駒を盤に打ち付けたときに音が良くなるようにするためで、「音受け」と呼ばれる。別名「血溜まり」とも言い、対局中に口出しした第三者の首をはねて、盤を逆さにして首をそこにさらしたという逸話に由来しているという。
 インターネットで容易に情報が目に入ってくる。にわか将棋ファンのでき上がりである。

(観る将)

2020年11月27日