新しい時代(№361)

 新型コロナで世界中が閉塞状態になっている。結局、今回の騒動でも、アメリカが1人勝ちしそうな感じである。アメリカの持つ、新しい企業、新しい産業を起こす力のすごみであろう。相変わらず日本は、安全よりも安心を求め、新しい改革の動きは鈍い。
 私の以前からの持論を述べれば、本来各界でリーダーシップをとるべき人々が医療界に入ってしまった。新しいパラダイム、新しいシステムを考える人材がほとんどいない。さらに、デフレ状態が長く続き、社会が活性化することを経験していない世代が決定的に増えてしまった。この世代は耐えることが当然と考えており、ある意味では当座の安定感はあるかもしれない。しかし、100年後、もう一度昭和と平成の時間が済んだころ、日本の人口は5千万人となり、国家としての体をなさなくなる。
 同盟国がいつまでも同盟国であるということは、決してないというのが歴史の教えである。どこの国とどういう同盟を結んでいるか、ということも多分学校では教えていない。教えているとすれば、日本がひどいことをし、その結果として、日本人もひどい目にあった、日本の過去は誤りだらけでひたすら耐えて生活していくべきである、という教えである。少なくとも、太平洋戦争前、アジアで独立国であったのは日本とタイ国のみであった、ということが何を意味しているかは教えるべきであろう。
 昔の若者は、貧しく、時には食うに困ることもあったから、もっと腹いっぱい食べたい、もっと豊かになりたいと思い、そのイライラや怨念が自分を変え、あるいは社会を変えようとする力になっていたと思う。それは、破壊的であっても、日本という国の周辺がほとんど平穏であったから、何の破綻もなく、希望がかなえられ、高度成長を現出した。
 翻って、個人がそれぞれの希望を持ち、それぞれの行動を行っているという意味では、今の若者の方がより多彩ではある。しかし、今は日本という国の外側は、あれ狂う怒涛か断崖になっていることが決定的に異なる。

(アナクロ)

2020年09月28日