パワハラ(怒る)と指導(叱る)の違い(№354)

 本年6月からパワハラ防止法が施行されます。企業にパワハラを防止する法的義務が生じます。管理職は、パワハラの無い働きやすい職場環境を整備することが義務付けられます。
 しかし、管理職が「パワハラを受けた」と指弾されることを恐れて必要な指導を躊躇してしまっては、組織運営や人材育成を妨げることになります。パワハラ(怒る)と指導(叱る)の違いについて、考えました。
 「怒る」とは、自分の抑えきれない感情をそのまま相手にぶつける行為で、自分本位です。
 「叱る」とは、相手の成長のために、改善すべきことを指摘する(人材育成)行為で、相手本位です。
 「パワハラ」は、自分の思い通りにならない相手や状況に対して、攻撃的、否定的に「怒る」ことです。一方「指導」は、相手のために、理性的、肯定的に「叱る」ことです。自分の言動が感情に流されて「怒って」いるのか、理性的に「叱って」いるのか、常に意識して感情を制御することが、パワハラにならないポイントです。
 また、「指導」をより効果的にするためには、相手が「指導」を受け入れやすくなるように、表現や状況などに配慮する必要があります。以下にポイントを列挙します。

①指導内容:組織運営や相手の成長に役立つものか。
  ⇒ 指導すべき事実について的確な改善策を伝える。

②状況:場所、周囲の人、相手の忙しさ、自分との関係性に配慮できているか。
  ⇒ 一対一での短時間の面談で伝える。

③表現方法:言葉、声の大きさ、表情、態度、目線など相手に与える影響に配慮できているか。
  ⇒ 理性的で丁寧な言葉で伝える。

④相手の理解度に対する配慮:指導内容を相手が理解できているか、配慮しながら言葉を選べているか。
  ⇒ 相手の人格を否定するような言動を発してしまうと、相手は「指導」とは受け止めない。

 以上のパワハラ(怒る)と指導(叱る)の違いを理解して、自分の言動を振り返り、自信をもって組織運営、人材育成を行ってください。

(まつりの夜店)

2020年02月27日